音楽に哲学を

~国境を超えた音楽哲学がそこに~

【歌詞考察】Tani Yuuki/メニークリスマス この曲の意味とは?一歩踏み出せない心情を描いたこの音楽を哲学的に徹底解説!

諸君、ごきげんよう

 

我は音楽を哲学的に考え思考する

メロディウスである。

 

今回は

Tani Yuuki
メニークリスマス

について哲学的に考察していく。



 

Tani Yuuki「メニークリスマス」MV

www.youtube.com


メニークリスマスの歌詞

今年もまたこの季節か
救世主はどこにいるんだ
聖なる夜 奇跡が起こんなら
君からのイエスがほしいんだ
ケーキやチキンですら
今日は主役になれんなら
スーパーパワーの1つや2つ
目覚めちゃうかなあぁ、
関係ないか
唐突に着飾って
特別なフリをした日常に
意味なんてないよな
君がいないなら
誰もが幸せそうにすれ違うクリスマスイブ
今、君はどこで誰と笑ってるんだろう
溶けて消えちゃう前に
伝えなきゃなんてさ
わかってるけど
気持ちは積もるばかり
昔誰かが言っていた
星の数の出会いがあるってさ
石ころとは訳が違うんだ
月を照らす太陽は1つさ
気まぐれに零れ落ちた言葉と
君の一挙手一投足に転がされちゃってさ
なんか馬鹿みたいだな
誰もが幸せそうに
撮り囲むクリスマスツリー
今、君はどこで誰と眺めてるんだろう
願い事もないし
いっそサンタにでも頼んでみようかな
いや、子供じゃあるまいし
恋愛映画で言うならば
身を引いて陰で泣く役だよな
“雪のせいだとか言えたらさ
もうちょっと大胆になれたかな
万人に受ける占いも
思いつくだけのまじないも
全然効きそうにないんだ
終電に乗り損なって
ばったり会って2人きり”
なんてあったりしないかな
あるわけがないよな
誰もが幸せそうにすれ違うクリスマスイブ
今、君はどこで誰と笑ってるんだろう
溶けて消えちゃう前に
伝えなきゃなんてさ
わかってるけど
気持ちは積もるばかり


 

序論

少年:

「もうすぐクリスマスだね。

街中が幸せそうに彩られているけど、

この歌詞みたいに、

僕にはその華やかさが

どこか虚しく感じられるんだ。」

 

メロディウス:
「少年、それは面白い観察だ。

この歌詞では、

幸福そうな世界と

その裏にある孤独感が描かれている。

 

歌の主人公の心情は

普遍的なテーマを含んでいる。

 

それを深掘りしてみよう。」

 

少年:
「そうだね。

じゃあ、この歌詞の冒頭から議論していこうか。」


 

第1章 幸福の裏に潜む孤独

少年:
「『救世主はどこにいるんだ』という

問いかけから始まるけど、

これは単なる宗教的な問いじゃなくて、

心の拠り所を探す切実な気持ちを表しているよね。」

 

メロディウス:
「その通りだ。

人間は往々にして、

特別な日や節目に

『自分にとっての救世主』を求める。

 

だが、この主人公にとっての

救世主は宗教的存在ではなく、

好きな人からの『イエス』、

つまり肯定の言葉だ。

 

このイエスこそが奇跡なのだ。」

 

少年:
「つまり、特別な日であればあるほど、

他者との繋がりが孤独を

一層浮き彫りにするのかも。

 

歌詞に出てくる

『誰もが幸せそうにすれ違う

クリスマスイブ』は、

他者の幸福が自分の孤独を

強調してしまう場面だよね。」

 

メロディウス:
「そうだ。哲学者サルトル

『他者は地獄だ』と言ったが、

それは他者の存在が自分を際立たせるからだ。

 

ここでも、主人公は

他人の幸せそうな様子を見て、

自分の孤独を強く感じている。

 

これが、クリスマスという

一見幸福な季節に潜む孤独の本質だろう。」


 

第2章 日常の特別化と虚構

少年:
「それにしても、

『唐突に着飾って

特別なフリをした日常』

っていう表現は面白いよね。

 

特別な日だと思い込むことで、

実は日常の虚構性が

浮き彫りになっている気がする。」

 

メロディウス:
「まさに。

人間は『特別』を作り出すことで

日常に意味を付与しようとする。

 

しかし、それが空虚に感じられるとき、

主人公のように特別なフリ

そのものを否定したくなる。

 

特別な日に愛する人がいなければ、

その特別さはむしろ苦痛になるのだ。」

 

少年:
「確かに、特別な日にこそ、

自分の満たされなさが目立つよね。

特別であるためには

何かしらの充足が必要だけど、

この主人公はそれを持たないまま

特別の場にいるから虚しくなるんだ。」

 

メロディウス:
「それはプラトンの言う

イデアの不完全さ』にも通じる。

 

完全な幸福の理想像があるからこそ、

不完全な現実が際立つ。

 

この主人公にとって、

クリスマスの理想は恋人との幸せな時間だ。

 

それが叶わないからこそ、

日常が虚構に見える。」


 

第3章 時間の儚さと積もる感情

少年:
「歌詞の中で、

雪が溶けて消える前に気持ちを

伝えたいってあるけど、

結局伝えられない。

 

これって、時間の儚さを感じさせるよね。」

 

メロディウス:
「その通りだ。

雪は美しくも消えやすいものの象徴だ。

 

この歌詞では、

主人公の感情もまた同じ儚さを持つ。

 

だが、それが『積もる』という言葉で

表現されるところに面白さがある。」

 

少年:
「そうだね。

雪は溶けて消えるけど、

一方で積もることで新しい景色を作り出す。

 

この主人公も、気持ちは伝えられないけど、

それが積もり積もって

心の中に新しい世界を作っているのかも。」

 

メロディウス:
「よく気づいたね、少年。

 

この積もる感情は、

まさに人間が自分自身の内面で

作り上げる世界だ。

 

伝えられなかった想いもまた、

主人公のアイデンティティの一部となる。

 

この点で歌詞は感情の二重性を

巧みに描いている。」


 

第4章 願いの不可能性と諦念

少年:
「『いっそサンタにでも

頼んでみようかな』とか、

『あるわけがないよな』っていう

自嘲的な言葉が切ないよね。

 

願いが叶わないことを

どこかで理解しているんだ。」

 

メロディウス:
「それはニーチェ

『運命愛』を彷彿とさせる。

 

人間は自分の願望が叶わない現実を

受け入れることで、

逆にその現実を愛そうとする。

 

この主人公も、願いが叶わない運命を

どこか諦めつつ、

その諦念を受け入れることで

自分を保とうとしている。」

 

少年:
「でも、同時に

『気持ちは積もるばかり』

ってあるように、

諦めきれない未練も感じる。

 

この矛盾した感情が人間らしいんだろうね。」

 

メロディウス:
「その通りだ。

人間の感情は一枚岩ではない。

 

叶わないと知りつつも、

希望を抱き続けるのが人間だ。

 

この歌詞は

その感情の複雑さを正直に表現している。」


 

結論

少年:
「結局、

この歌詞全体を通して感じたのは、

人間の孤独と希望が

同時に描かれていることだね。

 

特別な日であっても、

それがむしろ孤独を際立たせることもある。

 

だけど、その孤独が

人間の感情の深さを教えてくれるのかも。」

 

メロディウス:
「いいまとめだね、少年。

クリスマスというテーマを通じて、

歌詞は幸福と孤独、

期待と失望、

時間の儚さと感情の蓄積という

哲学的テーマを語っている。

 

この歌は単なる恋愛ソングに留まらず、

人間存在そのものを

深く掘り下げた詩だと言える。」

 

少年:
「そうだね。

この歌詞を読んだおかげで、

クリスマスの見方が少し変わったよ。

 

ただの華やかな日じゃなくて、

自分の感情と向き合う時間なのかもしれない。」

 

メロディウス:
「その通りだ。

クリスマスの光景が孤独を

浮き彫りにしても、

それを否定する必要はない。

 

その孤独こそが君を形作る

一部なのだからね。」