音楽に哲学を

~国境を超えた音楽哲学がそこに~

【歌詞考察】ギヴン/冬のはなし アニメ主題歌/劇中歌の曲の意味を哲学的に徹底解説!

諸君、ごきげんよう

 

我は音楽を哲学的に考え思考する

メロディウスである。

 

今回は

ギヴン
冬のはなし

について哲学的に考察していく。

 

 

ギヴン「冬のはなし」MV

www.youtube.com

冬のはなしの歌詞

まだ溶けきれずに残った
日陰の雪みたいな
想いを抱いて生きてる
ねえ
僕はこの恋を
どんな言葉でとじたらいいの
あなたのすべてが
明日を失くして
永遠の中を彷徨っているよ
さよならできずに
立ち止まったままの
僕と一緒に
まだ解けない魔法のような
それとも呪いのような
重い荷物を抱えてる
ねぇぼくはこの街で
どんな明日を
探せばいいの
嗚呼
冷たい涙が空で凍てついて
やさしい振りして
舞い落ちる頃に離れた
誰かと誰かがいたこと
ただそれだけのはなし
冷たい涙が空で凍てついて
やさしい振りして
舞い落ちる頃に離れた
誰かと誰かがいたこと
ただそれだけのはなし
あなたのすべてがかたちを
失くしても永遠に
僕の中で生きてくよ
さよならできずに
歩き出す僕と
ずっと一緒に

 

序論 記憶と別れの哲学

この曲の歌詞は、

別れとそれに伴う感情の

残滓を描写しながら、

人間の記憶がいかに形を変え、

未来へ影響を与えるかを問いかける。

 

「まだ溶けきれずに残った日陰の雪」は、

別れた人々との思い出が心の奥底に

根強く残っていることを象徴する。

 

それは、別れが単なる終わりではなく、

新しい時間の始まりであることを示唆する。

 

 

第一章 「溶けきれない想い」とは何かー不在の存在論

「溶けきれない」想いとは、

フッサールの言うところの「不在の現在性」に近い。

 

過去の記憶や別れた相手は

目の前には存在しないが、

彼らの痕跡は「今」に影響を与え続ける。

 

別れは完結することなく、

記憶の中で解消されないまま生き続けている。

 

「私たちは過去をただ忘れるのではなく、

それを抱え込んでいる。」

メルロ=ポンティ

 

第二章 永遠と彷徨ーハイデガーにおける「時間」と「存在」

「あなたのすべてが明日を失くして/

永遠の中を彷徨っている」という表現は、

時間を失った存在の在り方を示す。

 

ハイデガー存在と時間において、

時間は未来への志向によって成り立つと述べる。

 

ここで言う「永遠」は、

未来への志向を失い、

ただ現在に留まる存在の無限の循環を意味する。

 

第三章 魔法か呪いかー愛の両義性

「解けない魔法のような/

それとも呪いのような」という表現は、

愛が人を魅了し束縛する

力を持つことを示唆する。

 

フロイトは愛について

「人は愛を通して自らを超えようとするが、

同時にそれに縛られる」と述べた。

 

愛は救済であると同時に重荷でもある。

 

第四章 涙の凍結ーニーチェの「運命愛」と悲しみの超克

「冷たい涙が空で凍てついて/

やさしい振りして舞い落ちる」という表現は、

悲しみが冷たく美しい形で

降り積もる様を示している。

 

これはニーチェ「運命愛」と共鳴する。

 

彼は「運命を愛すること、

それがいかなる悲しみであっても、

その到来を受け入れるべきだ」と語った。

 

凍てついた涙は、

悲しみが美の一部として

受け入れられる瞬間を表している。

 

 

第五章 「ただそれだけのはなし」ー事実と意味の分断

歌詞の中で「ただそれだけのはなし」

と述べる箇所は、

出来事に意味を見出そうとする人間の営みと、

その営みに対する無常観を反映している。

 

ここにはアルベール・カミュ

『異邦人』の精神が垣間見える。

 

彼は「世界は意味を持たないが、

人はそれを意味づけようとする」と言った。

 

別れはただの事実だが、

人はその中に意味を探し続ける。

 

第六章 さよならと未来ーデリダにおける「未決の別れ」

「さよならできずに/

歩き出す僕と/

ずっと一緒に」という歌詞は、

別れが完結しないまま、

未来へ進むことを余儀なくされる姿を描いている。

 

デリダ「別れは決して終わりを迎えない。

むしろ、別れとは未来においても続いていく

『未決の状態』だ」と述べた。

 

人は別れの痛みを完全に癒せないまま、

それを抱えて生き続ける。

 

 

結論 永遠の記憶と歩む道

『冬のはなし』は、

別れがもたらす痛みと、

それに伴う記憶が持つ永続的な力を問いかける。

 

別れた相手が「形を失くしても永遠に

僕の中で生きてくよ」という表現は、

 

記憶がいかにして個人の存在を

超えて残り続けるかを示している。

 

それは未来に向かう旅の中で、

消えない「魔法」あるいは

「呪い」として人を導き続ける。

 

「私たちは歩き続けなければならない。

そして、その道の上で、

別れの重みを背負いながら、

それでも未来を探し続けるのだ。」

 

※すべてはメロディウスの趣味内での解釈となっておりますのでご了承ください。